どうも、就労系福祉サービスの管理者兼サービス管理責任者として8年以上障害のある方や就職に課題を抱える方を支援してしているナッツです。
障害や病気を抱えながらも自分に合った働き方をしたい人の収入アップ、スキルアップを応援したいと思い、情報を発信しています。
「就業促進定着手当の対象者やもらえる金額について詳しく知りたい」
そんな方のために、受給条件や支給金額、申請方法など、図解つきでわかりやすく解説します。
●受給条件
再就職手当をもらい、再就職先に6ヶ月以上雇用されており、前職より給料が下がった人が対象。
●金額
目安として、
「失業保険(失業手当)の基本手当日額 × 支給残日数 × 0.2」
であることが多い。
●申請方法
必要な書類は4つ。申請期限は2ヶ月と大きな余裕はなく、再就職先に依頼が必要な内容もあるため早めの対応推奨。
●ポイント
入社日によって計算方法(6ヶ月の数え方)が変わることに注意。
就業促進定着手当とは
就業促進定着手当とは、雇用保険でもらえるお金の一つです。

再就職先の職場定着を図るための手当で、前職よりも賃金が下がった場合の補填として支給されます。
受給条件(どうしたらもらえる?)
下記の要件に当てはまる人が対象となります。
- 再就職手当をもらった人
- 再就職先に6ヶ月以上雇用されている(雇用保険に加入している)
- 再就職先の賃金(入社6ヶ月間)が離職前の賃金より低い
❸の6ヶ月の数え方には2つのパターンがあることに注意が必要です。
- 再就職した日が給与の締め日の翌日の場合は「再就職した日から6ヶ月」
(図の上のパターン) - 給与の締め日の翌日を過ぎている場合は「再就職した日以降の最初の締め日の翌日から6ヶ月」
(図の下のパターン)

金額(いくらもらえる?)
支給額は失業保険(失業手当)支給残日数の20%を上限として、下がった賃金の6ヶ月分を支給するものです。(2025年4月~変更。以前は最大40%でしたが、引き下げられました。)
最終的にもらえる金額には上限があり、
「上限額 =基本手当日額(※下表参照)×支給残日数 ×0.2」
となります。
年齢 | 金額 |
60歳未満 | 6,395円 |
60~64歳 | 5,170円 |
賃金日額や基本手当日額、支給残日数は失業保険とも密接に関わっているため、こちらをご覧ください。
シミュレーション
以下の例を参考に具体的に見てみましょう。
例:35歳、基本手当日額5,000円、支給残日数30日、再就職先は月給制(計算式の③)、再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額8,000円(計算式の②)、離職前の賃金日額10,000円(計算式の①)の場合
就業促進定着手当の計算式に当てはめると、(10,000円-8,000円)×180日(※ここではわかりやすく、一ヶ月を30日と設定)=240,000円
上限額は、5,000円×30日×0.2=30,000円
「240,000円>30,000円」で、上限30,000円を超えているため、30,000円が支給されます。
詳しい仕組みを知りたい方は下記の①~③をご覧ください。
①離職前の賃金日額
これは、手続きの際にもらえる雇用保険受給資格証に載っています。(14.離職時賃金日額)

ただし、賃金日額には上限額と下限額があり、上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額になります。(毎年8月1日改定)
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
離職時の年齢が29歳以下 | ||
2,869 円以上 5,200 円未満 | 80% | 2,295 円~4,159 円 |
5,200 円以上 12,790 円以下 | 80%~50% | 4,160 円~6,395 円 |
12,790 円超 14,130 円以下 | 50% | 6,395 円~7,065 円 |
14,130 円(上限額)超 | ― | 7,065 円(上限額) |
離職時の年齢が30~44歳 | ||
2,869 円以上 5,200 円未満 | 80% | 2,295 円~4,159 円 |
5,200 円以上 12,790 円以下 | 80%~50% | 4,160 円~6,395 円 |
12,790 円超 15,690 円以下 | 50% | 6,395 円~7,845 円 |
15,690 円(上限額)超 | ― | 7,845 円(上限額) |
離職時の年齢が45~59歳 | ||
2,869 円以上 5,200 円未満 | 80% | 2,295 円~4,159 円 |
5,200 円以上 12,790 円以下 | 80%~50% | 4,160 円~6,395 円 |
12,790 円超 17,270 円以下 | 50% | 6,395 円~8,635 円 |
17,270 円(上限額)超 | ― | 8,635 円(上限額) |
離職時の年齢が60~64歳 | ||
2,869 円以上 5,200 円未満 | 80% | 2,295 円~4,159 円 |
5,200 円以上 11,490 円以下 | 80%~45% | 4,160 円~5,170 円 |
11,490 円超 16,490 円以下 | 45% | 5,170 円~7,420 円 |
16,490 円(上限額)超 | ― | 7,420 円(上限額) |
年齢 | 下限額 |
全年齢 | 2,295円 |
②再就職後6ヶ月間の賃金日額
これは月給制の場合と日給・時給制の場合で少し変わります。
【月給の場合】
再就職後6ヶ月間の賃金の合計÷180
【日給・時給の場合】
次の(a)、(b)のうち、どちらか金額の高い方
(a) 再就職後6ヶ月間の賃金※の合計額 ÷ 180
(b)(再就職後6ヶ月間の賃金※の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%
※就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締日後の6ヶ月分の賃金の合計(税金や
雇用保険料などが控除される前の総支給額)💡6ヶ月の数え方
これは通勤手当や皆勤手当などのほか、事務手続きのために期間ごとにまとめて支払う通勤手当などを含みます。
ただし、夏冬の賞与など3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。
「再就職後6ヶ月間の賃金日額」には上限額と下限額があり、離職前の賃金日額の上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額になります。
③再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数
原則として、支払い形態によって下記のように分かれます。
- 月給制の場合は暦日数(30日、31日など)
- 日給月給の場合はその基礎となる日数
- 日給制・時給制の場合は労働日数
申請方法
申請に必要な書類は以下の4つです。
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就職日から6ヶ月間※の出勤簿の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
- 就職日から6ヶ月間※の給与明細又は賃金台帳の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
※就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切日後の6ヶ月分 💡6ヶ月の数え方
就業促進定着手当支給申請書は、再就職からおおむね5ヶ月後にハローワークから再就職手当の支給決定通知と一緒に郵送されてきます。
申請書や原本証明は再就職先の会社に記入してもらう欄もあります。
事業所の名称や代表者名、代表者の印などが必要になるため、余裕をもって早めに依頼しましょう。
申請期限・申請先
再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月間。
例えば、4月1日に入社したら10月1日~12月31日までが期限となります。
提出先はハローワークで、郵送でも受付てもらえます。
※ 特別な事情があると認められない限り、期限を過ぎての申請は受付できません。
まとめ
今回は就業促進定着手当の受給条件、金額、申請方法などについて解説しました。
こういった制度は申請主義のため、申請しないともらえません。
知らないともったいないので、もらえるお金はしっかりもらって生活の足しにしていきましょう。
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